声優史学

声優さんとお酒

μ's GO→GO! Love Live ~Dream Sensation~(その1) -奇跡それは今さここなんだ みんなの想いが導いた場所なんだ-

さる1/31,2/1の2日間、μ's GO→GO! Love Live ~Dream Sensation~(通称「5th」)に参加した。
本当に素晴らしいライブであった。

 

参加した方々の感想を伺うと「言葉にならない」と返ってくることも多く、それはそれで一種の真理を突いているのだが、僕は、敢えてこれを自分自身の言葉において解き明かし、伝えるという、無理難題に挑戦してみようと思う。それがかつて僕が"文"の学府を修めたことに対する、というよりはあの学んだ場に対する、せめてもの恩返しになればと考えている。

なお、本記事を書くに当たって、僕が以前に書いたラブライブ!関係の記事も、併せて読んでいただけると幸いです。本記事も、過去に触れたことは適切に端折りながら進めていきます。

 


2/8 2/9 ラブライブ!μ’s→NEXT LoveLive!2014 ~ENDLESS PARADE~ 感想その1 - 声優史学


2/8 2/9 ラブライブ!μ’s→NEXT LoveLive!2014 ~ENDLESS PARADE~ 感想その2 - 声優史学


【過去記事再掲載】聖地巡礼と声優イベントと~創作を現実に降臨させる想像力 - 声優史学


【過去記事再掲載】2013/3/10 ラブライブ!シークレットイベント μ's in Wonder Zone - 声優史学


僕はかねてから『ラブライブ!』という作品が2次元と3次元とを上手に交錯させ、我々を夢中にさせてきたことについて主張してきた。そして、今回のライブも、それを非常に上手に表現していたといえる。全体の構成はアニメ2期を中心に据えつつ、それでいて衣装、ステージセット、小道具、さらには演者のパフォーマンスに至るまで、本当に我々の期待のはるかに上を行くクオリティであった。Love wing bellではまさにアニメで描かれた光景をキャストたちが完全といっても良いほどに見事に再現していたし、ステージセットはラブライブ!本戦をモチーフにしたセットだったし、果てはアンコールアニメでキャラクターに"中の人"の自己紹介を再現させたり、細かく挙げていけばキリがない。


Wonderful Rushに寄せて

僕が初めてラブライブ!を知ったのは2012年3月のブシロードカードゲームライブ(愛知)であるが、本格的に夢中になったのは同年10月ごろ、Wonderful RushのPVを目にした時からである。曲もPVもとても疾走感があり、であって秋葉原羽田空港といった知っている風景が登場する。いや、単に登場させているだけにとどまらない。滑走路にステージを建てたり、落ちサビで噴水を炊いたり、あんな演出は実在のアイドルでは到底無理だろう…!これが僕が実在ではなく、敢えて非実在の、創作のアイドルを推す理由たるのだ…!と、あっという間に音ノ木坂の世界にのめり込んでしまった。*1

そんな僕にとって想い出深い曲であるWonderful Rushを、今回の公演では両日ともに聴けて本当に良かった。2日目はさすがに端折られると思ったけど、結果としてやってくれた。この曲を聞くと卒論に煮詰まってはPVを流して家で一人踊っていたあの頃を思い出して一人泣いていた。

 

・2次元と3次元の相互依存と共生

巧みに2次元と3次元を交錯させていることがラブライブ!のライブイベントの魅力であることは先に述べたが、これをさらに細かく分けると"2次元を3次元で再現する"手続きと"3次元を2次元で再現する"手続きの2種類に分けられる。

先述したとおり、今回の5thは、アニメのストーリーをなぞる形で進められていた。これは紛れも無く"2次元→3次元"というプロセスである。先述したアニメーションPVの振り付けの再現、飯田里穂さんのドレス姿、ステージの形や照明機材、どれもがアニメの再現であるし、多くのファンはこの"創作世界を現実で再現する"という夢の様な時間を求め、さいたまスーパーアリーナへ足を運んでいるのだろう。
しかし、その中にごく一部ながら、"3次元から2次元へ"という、いわば逆輸入的なプロセスが含まれている。先にも述べたアンコールアニメーションで、声優さんの自己紹介をμ'sのキャラで再現したのである。単に自己紹介にアニメ映像をつけただけでなく、キャラクターに中の人の仕草を再現させたのだから、本当に驚きであった。*2

 

このような2次元、3次元の相互依存の関係を作り出し、現実世界と創作世界との区別をどんどん曖昧にしていったことこそが、5thライブ参加者の多くが余韻を数日間引きずるほどの体験をさせる原因となったのではないだろうか。そして、この不思議な感覚を求めて、多くの人が夢中になるのではないか。*3

 


さて、様々な御託を並べてきたが、以上の要因を述べてもラブライブ!の古今の商業的成功を説明するにはまだピースが足りない。
2次元と3次元とを交錯させる手続きは、オタク特有の想像力に支えられているため、オタクではない者による支持を説明するには物足りないと僕は考える。オタクによる支持の別レイヤーで、近年の中高生に特有な、カジュアルにオタク文化を楽しむ層(僕はこういった存在を"マイルドオタク"とでも呼びたい)による支持が非常に大きかったのではないか。*4

 

彼らにとって(もちろんオタク層にとっても)拠り所となっていた、もうひとつの重要なテーマである"成長"という軸については、次の記事で詳しく述べていこうと思う。

*1:余談だけれども、その衝撃的な出会いの数カ月後に描き上げた僕の卒業論文は、秋葉原と神田と神保町の間あたりに存在するキンコーズ淡路町店で製本された。

*2:4thではオープニングの演出で、スクリーンに客席を映しながらその上でμ'sのキャラクターが踊っているCGをはめ込むという演出がなされていたが、これも同様の手続きである。詳細は上記に紹介した4th感想記事で述べているので、ここでは割愛する。

*3:もっとも、このような手続きは何もラブライブ!に特有のことではなく、いわゆる現実の土地を背景にしたアニメを制作し、ファンがその土地を探訪する"聖地巡礼"もこのような想像力が元になっていると言える。声優とアニメとの関係でいえば、『Wake Up, Girls!』『アイドルマスター』等のコンテンツで、声優のパーソナリティをキャラクター設定に取り組む手続きがされている。詳細は割愛するが。

*4:詳細な分析は行わないが、ブシモで展開されているスマホアプリ「スクールアイドルフェスティバル」のブレイクを支えたのがこのような層だと僕は推測している。

【過去記事再掲載】2013/3/10 ラブライブ!シークレットイベント μ's in Wonder Zone

過去ブログの記事移植Part2。

1期放送中に行われた無銭イベントに幸運にも当選したので、史料的価値も割りとあると思いますし、これを期に共有しておきたいと思います。

 

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8話試聴直後の勢いで申し込んだら当選してしまったので行ってきた。
事情を理解してもらえるバイト先で良かった。

 

公式レポがそのうち上がるらしい…けど上がってこないので記憶の範囲で適当に書くよ。

 

・生μ'sは去年のカードゲームライブ以来、つまりちょうど1年ぶりだった。もっとも、当時はミルキィと多少キャストがかぶっている程度の情報しかなかったし、本格的にラブライブに感染したのは昨年10月からなので、当時は初見でポカーンとしてラブライバー怖いって思った程度なのだけど。

・整理番号は300番台。様子を見る限り当選者は400人程度のようだった。

・イベントは合計1時間程度で、「これから総選挙をやるなら自分のキャラのどこを推す?」というお題のトーク→9話上映会生コメンタリー付き→僕らは今の中でのライブ(OPサイズ)という流れ。

・スレからWRの発売後イベントではトークのみだったという情報を得ていたので、正直これは予想以上だった。お腹いっぱい。

・個人的ハイライトは\ダレカタスケテー/\チョットマッテテー/の一回目がいまいち反応薄く不発だった時にそらまるが真っ先にフォローしていたこと。そらまる、譲崎ネロとかにこにーみたいな役を当てられているけど実際は非常に周りが見えて的確なフォローを飛ばせる人なんですよね。ミルキィだといず様が暴走する、みもりんに飛び火する、そらまるがフォローする、みころんが微笑む、みたいな流れが一種の様式美になっているし、ライブでの体力不足(これも相当成長しているんだけど)がネタにされることが多いけど、こういうそらまるデキる子的な側面がもっと知れ渡ってくれるといいなぁ。

・シカ子の挨拶はにこりんぱなでは恒例のネタだけに浸透していないのがむしろ意外だと思ったんだけどな…僕はそんなに引き返せないところまでハマり込んでしまったのだろうか。

・みもりんはミルキィにいる時の方が輝いているような気がしたなぁ…最近ソロデビューもあるし忙しいだろうし疲れてるのだろうか。

・みもりん「石田とあさくらも見てねー!!」

・9話上映会、この話に込められたメタ的な伏線(「来週の日曜日この場所でライブ」とは明らかにこのイベントのことを指していたり、劇中で歌っていたのもベルばら前だったり、クレジットにもベルサールが載っている)を明かしつつの鑑賞となったわけだけど、この展開はどことなくブシロードっぽいやり方なのではないだろうかと思ったりした。CMをバンバン撃ちまくるのも要は話題性集めって点で通底しているというか。

・まぁスクリーンは小さかったけど。

・キャストも上映に見入ってしまってそんなにはっちゃけてはいなかったような。

・この形式の上映はオルタナミルキィ上映会でも体験したけど、生で聞けるってのは本当に至高だなぁと改めて思った。

・最後に僕らは今の中でのダンスを(ショートバージョンだけど)初披露。念のためというつもりだったけど、わざわざ12色ライトを買ってきたかいがあったぜ。

・無料のイベントだったからここまでしてくれるとは思わなかった。

・ここで踊ったということはおそらくカードゲームライブでもやるんだろうなぁ。行きたい。

 

・ところでこれ、シークレットイベントという案内だったけど実際はシークレット()であった。場所が秋葉原のどまんなかだし、ベルサールの柱には当日限りでポスター掲示していたし、音声は外にも聞こえていたらしいし。というか外でサイリウム振ってる人もたくさんいたし。

 

・でも中に入れたのは凄く優越感があったというか、なんか自慢か煽りみたくなっちゃうけど、とにかく実質オープンなイベントとなったけどむしろそれが当選してよかった感を高めたとも言える。

 

・ラブライバーは怖い(1年ぶり2回目)。

・もちろんそこまで(シークレットとして募集しておいて実質シークレットになっていないあたり)プロジェクトの宣伝を司るブシロードの計算通りなのだろう。ブシロード系コンテンツはわりと大胆な話題集めをしでかしてくれるので見ている分には結構楽しいのだけどなぁ。

ラブライブはアニメーションPVをあれだけの出来で(声優ライブの範疇でありながら)再現するのは本当にすごいと思うんだけど、同時にキャストに結構な無茶を強いているのも明らかなので、ナンジョルノがレッスン不足でニューイヤーを欠場してしまったような破綻がいつ起こってもおかしくないと思っている。もっとも、これだけ流行れば相応のギャラも出るだろうし、事務所もラブライブを優先してくれると思うけど。明日は我がみもりんか。響所属だから大丈夫かな。

・僕個人としてはアニメーションPV(Wonderful Rushが直接的なきっかけ)がツボでラブライブという沼にハマってしまった人間なので、あのダンスを再現しているということが中の人ユニットのμ'sに対して最も強く願っていることなのかもしれない。

・しかしこれだけ流行ってしまうと3rdが激戦区になってしまうではないか…円盤1枚で足りるのか…?

 

思ったところをつらつらと書くとこんな感じ。
この後全員集合でニコ生、さらにMXでの放送ということで、この一連の流れは上手に信者を涵養しているなぁと感心せざるを得ないと思いました。
やっぱラブライブ面白いわ。

 


【3/12追記】
公式のレポートが上がりましたね。

中の人が違うからなんだろうけど、他の記事と違ってですます調になっていないのが気になる…まぁ気にしたら負けなんだろうか。

 

【6/23追記】
3rdの後だからか検索でこのブログに辿り着く人が随分多いみたいなので少し追記。
シカ子こと久保ユリカの「ダレカタスケテー」からの「チョットマッテテー」という掛け合いについて。

既に恒例化している振りですが、これの初出はwebラジオ「ラブライブ!μ's広報部 ~にこりんぱな~」の視聴者からのお便り募集コーナーです。
ニコ動のプレイヤーがうまく貼り付かないのでリンクで失礼。
(今思うと何故最初の更新でこの情報を載せおかなかったのか…)
ラブライブ! μ's広報部 ~にこりんぱな~ 第5回
手っ取り早く名言誕生の瞬間が見たい人は15分過ぎまでシーク。

※リンク切れにつき削除しました。(2015/2/5)

 

久しぶりに見返して思ったけど、シークレットでそらまるが最初にフォロー入れてたのもある意味この挨拶の生みの親がそらまるだったからみたいな部分もあるんですね。
シークレットの2週間後のカードゲームライブ2013でもダレカタスケテーやったみたいですが、こっちはどれくらい決まったんだろうか…。
(参考:ならづけ 久保ユリカのブログ(2013/3/25更新分) コメント欄より)

 

ちなみにLV参加(シネマサンシャイン池袋)だった3rdのレポも書こうと思いましたがここ最近仕事が忙しかった+風邪ひいてたので記事作る余裕がなかったのと、あとあんまりにも素晴らしすぎて脳みそが溶けてなくなってしまったので更新予定はありません。というか熱が出たのもだいたい3rdのせい。

 

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今の自分であれば使わない表記を使っている部分もありますが、史料的価値を重んじて敢えて訂正しないままに公開します。

 

今になってこの頃に書いた記事を見返すと、本当に細かいところまで見ているなぁ過去の自分はと思うところですね。思い返せばこのイベントを皮切りに頻繁に声優さんイベントに足を運ぶようになったような気もします。

【過去記事再掲載】聖地巡礼と声優イベントと~創作を現実に降臨させる想像力

2013年6月30日(多分)に、昔のブログで書いた記事の再掲載です。

前代ブログは闇に葬りたいので、手元evernoteにおける下書きを元にした再掲載となりますが、ここの記事で述べられている考えは今でも割と大切にしているところなので、再度掲載させていただきます。

 

 

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最近、森見登美彦四畳半神話大系』を読んだ。この作者の本を読んだのは初めてであったのだけれど、大学時代へのノスタルジアと共に強く感じたのが、「京都行きたい」という気分であった。作中では例えば鴨川で学生カップルが鎮座している風景であったり、木屋町の飲み屋でのシーンなど、実在の京都という場所を下敷きにしつつ小説というファンタジーな物語を展開しており(おそらく実在の京都の風景とは少なからず齟齬があるのかもしれないが、京都の中でもこれらの土地に僕自身が行ったことがないためその辺りは判断しかねる)、京都という街に行けば少なからずこういった世界を経験できるのではないだろうか、と読者に連想させている。

ここで「創作物と実在の土地」というテーマについて考えた際に浮かんだのが、いわゆる"聖地巡礼"とアニメ作品との関係である。"聖地巡礼"という現象は今やラノベ作品のネタにもされるほど認知されているのだが、果たしてこれが、先に述べたように、創作物で表現されている世界への純粋な憧憬から成り立っているのだろうか。

例えばここ最近で特に"巡礼"で話題になった作品「ガルパン(ガールズ&パンツァー)」は、地元大洗で様々なイベントを行い、その「本気さ」によって多くの人を大洗に呼び込むことに成功したと言えるが、実際にこのアニメを見ていると大洗が舞台になっているシーンはほんのわずかしかなく、最も印象に残るシーンも戦車の市街戦であり、これが先に述べた『四畳半神話大系』のような意味で土地(を下敷きにした作品世界)への憧憬を引き起こすとは考えにくい。むしろ、大洗に人が集まるのは「大洗が本気でガルパンを応援しているから」という理由の方が近いのではないか。

さてここからは僕の個人的体験に基づく話になるのだが、多くの"聖地"において地域自体の方から強くコンテンツを推すことで"巡礼"を作り出しているのではないかと思う。今のような形の"聖地巡礼"が認識される前は純粋な作品世界への憧れが人々をその土地へと運んでいたと思うのだが(もちろん今でもそういったケースはあるのだろうけど)、「らき☆すた」の鷲宮商工会の経済的成功が取り上げられたことで、これは儲かるチャンスだと感じた地域側が、スタンプラリーを企画したり、グッズを制作したりと、商業的な面で"聖地巡礼"が利用されるケースがかなり多いように感じた。とはいえ、僕自身もどのように扱われているか興味があって色々な"聖地"に赴いた訳なので、別にそれ自体が悪いと言うわけでもないし、地元商工会も"聖地巡礼"のブームに乗らなければ劇的な収益に結びつかないくらいの苦境に立たされているのだろうけど。


こういった現実の土地をモデルにした創作によって、作品世界を現実世界に近づける試みが多くある一方で、反対に「現実世界の方を作品世界に近づける試み」が数多くあるのも事実である。あまりにも話が飛んでしまうが、僕がこれを最もうまくやっていると感じるのが「ラブライブ!」である。

ラブライブ!」はアニメーションPV、G's magazineにおける誌上連載、声優ユニット(いわゆる中の人)によるCDやライブといった様々な軸でコンテンツ展開をしていたが、その中でも僕が特に評価しているのが、声優ユニットμ'sによるライブパフォーマンスである。μ'sのライブにおいては、バックのスクリーンにアニメーションPV(TVシリーズで使われた曲に関して言えばそのダンスシーン)を流しながら、ステージ上で各キャラクターの声を当てる声優が踊る、というものである。文章で書くとそんなもんかと思われがちだが、実際に見るとそこまでダンス頑張るか!?というクオリティの高さに驚くのである。事実、TVアニメ化による知名度上昇によって中の人ユニットとしてのμ'sのパフォーマンスの凄さも広まることとなり、6月に行われた3rd Anniversary Lovelive!の会場のキャパを大幅に上回る"ラブライバー"が生まれ、全国50を超える劇場でライブビューイングされることになったのである(余談だが、ライブ前日にうっちーこと内田彩twitter上でこの劇場を全て読み上げて「点呼」を取ったことは多くのラブライバーたちに「うっちーは天使」という認識を広めることになった)。

ここで注目すべき点は、声優ユニットμ'sが非常に高い精度でアニメーションPV(およびTVアニメのダンスシーン)を再現するという、「生身の声優(=現実世界)を作品世界に近づける」という手続きがなされていたことであり、これが多くの"ラブライバー"にライブ会場へ足を運ばせた動機なのではないだろうか。多くのアニメ作品において、イベントに声優を呼んで「作品世界の再現」を目指した展開が行われているが、これほどまでに高いハードルを越えた作品に僕は未だかつて出会ったことがないし、多くのラブライバー達もそう感じているということは想像に難くない。もっとも、こういった複雑な想像力云々の話題を抜きにしても声優ライブとは多くの人を引き付ける魅力があるので、こういった点だけがラブライブ!が広まった理由という訳ではないのだけれど。

ちなみに、ラブライブ!のプロジェクトは舞台が「秋葉原と神田と神保町の間あたりにある音ノ木坂学院」と公式に定められており、一応は現実の土地をモデルにしているが、"聖地"に秋葉原も含まれていることもあり、前述のような町おこし的にこのコンテンツが扱われていることはない(秋葉原ゲーマーズキュアメイドカフェがこの作品を推すのは微妙なラインであるが、一般的な宣伝とも捉えられるので深くは突っ込まないでおく)。神田明神にも多くの絵馬が飾られているが、元々アキバ系の著名人の絵馬が多い神社なのでさほど特別な感じもしない。とはいえライブ直前に「中の人」がこの神社に絵馬を飾ったりなどもしているので、巡礼するのは結構楽しいのだけれど。

創作世界は創作世界であり、一種のファンタジーであるため、モデルにしている実在の土地とも、声を当てている声優とも同一になることはできない。しかし、作品を深く読み込み、愛した者にとっては、その土地を訪れ、イベントで声優に「会いに行く」ことは、独自の想像力によって「作品世界を現実に降臨させる」体験に足りるものなのではないだろうか。


一応はひとつのテーマを貫いているとはいえ、森見登美彦から最終的にラブライブ!につながる突拍子の無さといい、今夜は一人酒で悪酔いしてしまったような気がしなくもない。来年2月のμ'sのさいたまスーパーアリーナでのライブにも行きたいし、京都にも旅行に行きたいな、という話である。

2014年を雑に振り返る

表題の通り、2014年を雑に振り返ります。
 
  • 引っ越し
3月末に引っ越して妹と2人暮らしを始めました。都内築30年家賃9万円ちょっとです。一人暮らしだった前年までと比べて、衣食住のうち食と住にかかる金が飛躍的に削減できているので、財政的にはかなりのアドです。
ちなみに妹も週15本くらいアニメを見るタイプの熱心なオタクなものですが、この点は一長一短です。コンテンツをシェアできることはもちろん長所なのですが、テレビもレコーダーも1台しかないのでアニメの消化はお互いにうまく融通しなければならない点が、時に足枷になります。とはいえ、逆に妹が見なければ(僕が帰宅するとしばしば彼女がアニメを見ているのです)僕が全く見なかったであろうアニメも多いので、やはり全体的にアドの方が多いと言えます。
 
とはいえ2人暮らしならではの軋轢も多いので、2年のみ(妹は専門学生)という条件付きだからこそ成立している、という気もします。妹と2人暮らしすることの是非についてはいずれ何らかの形で整理したいところです。(僕のようなケースはあまり一般的ではないとも思いますが・・・)
 
  • おたく
気が付いたら年間41イベントも行ってました。遠征もけっこうやったし、そりゃお金もなくなりますわって感じですね。
 
イベントにはガンガン行くようになった一方でアニメを見る本数はかなり減ってきていて(年間通算で20本も見てないのではないか?)、時間がないがお金はある社会人オタクとしての生き方を体現する存在になってきているような気がします。このあたりは自分の中でも賛否両論ですね。
ただ、数年前までアホみたいにたくさんアニメを見た経験は、数々のライブに参加するにあたって全く無駄にはなっていない、ということは間違いないです。アニメを知り主題歌を知れば、百ライブ危うからずや。
 
追っかける対象は三森すずこさんを中心に、それほど大きくブレはしなかったかなとは思いますが、ラブライブ!からはやや離れ、ミルキィに戻りつつあるような気がします(2014年12月地点)。思えば今年はミルキィ正月ライブに始まりミルキィ年忘れライブに終わる一年でしたね。
じゃあ一番楽しかったイベントはと言われるとなかなか迷いますが、三森すずこさんツアーに全力出してた6月が一番楽しかったような気がします。次点で何の前触れもなくユニバーページのイントロが流れたアニサマ2日目。あと印象深いのが大雪と戦った2月のμ's4thと、黒沢ともよ神に夢中だったシンデレラ1st(ライビュ)と、クソ暑かったミルキィFCイベントと、8月のトラハモ公録と、要はほとんど全部のイベントでした。
 
とはいえさすがに行きすぎている自覚はあるので、来年はイベント減らします。減らします(減らせるとは言ってない)。
 
  • 走る
今年のレースは以下の通りです。
2月 守谷ハーフ
3月 さいたまシティハーフ(PB)
5月 仙台国際ハーフ
10月 しまだ大井川フル
12月 所沢シティハーフ
 
3月に自己ベストを出したはいいのですが、そのあと上記同棲の事情等もありほとんど練習できていませんでした。とはいえ、9月あたりから某市民ランナーチームで練習し始め、12月にはハーフで1時間半切る程度には戻してきてるので、来年にはあわよくば3時間切っておきたいものです。
ちなみに3月のハーフベストも100km/月くらいの練習量で出してるので、ちゃんと練習できさえすればハーフもフルもまだまだ伸びると信じてる。フル3時間は切っておきたい。
皇居ラン友達は引き続き募集中です。当方キロ5で20kmくらいは走れます。
 
  • 喫茶店

出先で時間を潰す必要が有るときとか、ちょくちょく喫茶店に行くようになりました。メイドさんなカフェであったりそうでない喫茶店であったり。出先で時間を潰す必要が有るときとか、ちょくちょく喫茶店に行くようになりました。メイドさんなカフェであったりそうでない喫茶店であったり。

まだまだ物知りとは言えない程度の知識量なので、今後より研鑽を積みたい。

最初はjubeatをやっていたのですが最終的にリフレクに落ち着きました。8段まではいけたので師範代くらいまではいきたい。
 
  • 資格

たいした資格取ってないので来年はもっと頑張る。

 
 
大学の頃は学部関係であったり部活関係であったり、所与の人間関係に限定して生きてきたような気がしますが、今年は様々なルートで自分から人間関係を作ることができたと思います。
 
それでは良いお年を。

秋葉原酒飲み記録

「声優さんの幸せと、自分自身の幸せを混同してはならない。それでも、混同しちゃってるオタクが多いんだよね。」
 
「なるほどね。」
 
「ガチ恋なんかしちゃったらそういう区別をしている場合じゃないんだろうけどね・・・。」
 
「まぁ・・・恋は盲目っていうし・・・。
 
 
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「僕はけいおん!にハマったことで、ただアニメを見るだけのオタクから、声優さんのことを調べたり、二次創作イラストを集めたり、果ては自分でSSを書くようなオタクになったりした。オタクっていうのは本当は様々なあり方があるはずなのに、ひとくくりにされていることが多い。根が深い問題である。」
 
「なるほどね。」
 
「翻ってラブライブ!だって僕らにオタクとしての様々なあり方を提示してきた。元々G'sから始まって、楽曲、アニメPV、ライブ、そしてTVシリーズ、劇場版、スクフェス、聖地巡礼・・・公式が提示したあり方でもこれだけ幅が広いのに、オタクによる二次創作も含めるとさらに広範になる。」
 
「しかし、その広さがかえってライブ現場を無秩序にしているというあり方も。」
 
「そう。やはり、ラブライバーは年齢層が低い。おそらく、ラブライバーにはラブライブ!が原因でオタクになった、初めてハマったオタクコンテンツがラブライブ!である人が多いと思われる。」
 
「なるほど。そう考えるとスクフェスは無料で遊べる幅が広いから中高生にもウケたんだろうなぁ。」
 
「正直、ラブライブ!は大好きだし、愛してるし、何度も救われてきた。でも、現場にいって缶バッジをジャラジャラしてるオタクを見るのはいい気分になれないし、僕もラブライバーとして彼らと一括りにされてしまうのは苦しい。」
 
「そして僕らが葛藤を抱える原因となっている存在は、そんな葛藤を抱えることもなくオタクしてるんだろうなぁと。」
 
「まぁ、オタクってそんなものなんだろうよ。」
 
 
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「声優オタクのあり方もいろいろだよね。僕は単推しが多いとよく揶揄されるけど、例えば三森すずこさんに対する姿勢と大橋彩香さんに対する姿勢は同一ではない。憧れとしての推しと、応援としての推しは明確に区別されるべき。」
 
三森すずこさんに対しては、憧れとしての推し、だよね。」
 
「その通り。しかし、彼女のストイックさ、真剣さに惹かれているからこそ、僕は彼女のツアーに全通などしている場合ではないような気がしてきて、それもまた葛藤なんだよね。僕が自己のあるべき姿の投影としての三森すずこさんを求め、ライブに通えば通うほど、その姿は自分から遠ざかっていく。本当はもっとストイックに生きなければならないのに、何をやっているんだろう、と。」
 
「なるほどね。それで、後者の、応援としての推し、とは。」
 
「端的に言えば、ホリプロ声優なんかはこのスタンスで推しているオタクが多そうだよね。」
 
「しかし、どちらにしても、推すのが義務感化してきたら、それはオタクの退き時なんだろうね。」
 
「だろうね。オタクなんて社会で評価される存在じゃないんだから、そこは変にプライドを持って固執するべきではないんだろうね。」
 
「自然に冷めるにしても、何にしても、オタクはいずれ引退すべきだというのはわかっている。現場で40前後くらいのおっさんを見ると、さすがに自分はああはなりたくないな、って考えてしまう。」
 
「タバコみたいなもんだよな。」
 
「やってる人は辞めたいと思っている、だがなかなかやめられない。」
 
「そしてやめられない人に限って”やめます”という、と。」
 
「ほんとそれ。」