声優史学

声優さんとお酒

【過去記事再掲載】聖地巡礼と声優イベントと~創作を現実に降臨させる想像力

2013年6月30日(多分)に、昔のブログで書いた記事の再掲載です。

前代ブログは闇に葬りたいので、手元evernoteにおける下書きを元にした再掲載となりますが、ここの記事で述べられている考えは今でも割と大切にしているところなので、再度掲載させていただきます。

 

 

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最近、森見登美彦四畳半神話大系』を読んだ。この作者の本を読んだのは初めてであったのだけれど、大学時代へのノスタルジアと共に強く感じたのが、「京都行きたい」という気分であった。作中では例えば鴨川で学生カップルが鎮座している風景であったり、木屋町の飲み屋でのシーンなど、実在の京都という場所を下敷きにしつつ小説というファンタジーな物語を展開しており(おそらく実在の京都の風景とは少なからず齟齬があるのかもしれないが、京都の中でもこれらの土地に僕自身が行ったことがないためその辺りは判断しかねる)、京都という街に行けば少なからずこういった世界を経験できるのではないだろうか、と読者に連想させている。

ここで「創作物と実在の土地」というテーマについて考えた際に浮かんだのが、いわゆる"聖地巡礼"とアニメ作品との関係である。"聖地巡礼"という現象は今やラノベ作品のネタにもされるほど認知されているのだが、果たしてこれが、先に述べたように、創作物で表現されている世界への純粋な憧憬から成り立っているのだろうか。

例えばここ最近で特に"巡礼"で話題になった作品「ガルパン(ガールズ&パンツァー)」は、地元大洗で様々なイベントを行い、その「本気さ」によって多くの人を大洗に呼び込むことに成功したと言えるが、実際にこのアニメを見ていると大洗が舞台になっているシーンはほんのわずかしかなく、最も印象に残るシーンも戦車の市街戦であり、これが先に述べた『四畳半神話大系』のような意味で土地(を下敷きにした作品世界)への憧憬を引き起こすとは考えにくい。むしろ、大洗に人が集まるのは「大洗が本気でガルパンを応援しているから」という理由の方が近いのではないか。

さてここからは僕の個人的体験に基づく話になるのだが、多くの"聖地"において地域自体の方から強くコンテンツを推すことで"巡礼"を作り出しているのではないかと思う。今のような形の"聖地巡礼"が認識される前は純粋な作品世界への憧れが人々をその土地へと運んでいたと思うのだが(もちろん今でもそういったケースはあるのだろうけど)、「らき☆すた」の鷲宮商工会の経済的成功が取り上げられたことで、これは儲かるチャンスだと感じた地域側が、スタンプラリーを企画したり、グッズを制作したりと、商業的な面で"聖地巡礼"が利用されるケースがかなり多いように感じた。とはいえ、僕自身もどのように扱われているか興味があって色々な"聖地"に赴いた訳なので、別にそれ自体が悪いと言うわけでもないし、地元商工会も"聖地巡礼"のブームに乗らなければ劇的な収益に結びつかないくらいの苦境に立たされているのだろうけど。


こういった現実の土地をモデルにした創作によって、作品世界を現実世界に近づける試みが多くある一方で、反対に「現実世界の方を作品世界に近づける試み」が数多くあるのも事実である。あまりにも話が飛んでしまうが、僕がこれを最もうまくやっていると感じるのが「ラブライブ!」である。

ラブライブ!」はアニメーションPV、G's magazineにおける誌上連載、声優ユニット(いわゆる中の人)によるCDやライブといった様々な軸でコンテンツ展開をしていたが、その中でも僕が特に評価しているのが、声優ユニットμ'sによるライブパフォーマンスである。μ'sのライブにおいては、バックのスクリーンにアニメーションPV(TVシリーズで使われた曲に関して言えばそのダンスシーン)を流しながら、ステージ上で各キャラクターの声を当てる声優が踊る、というものである。文章で書くとそんなもんかと思われがちだが、実際に見るとそこまでダンス頑張るか!?というクオリティの高さに驚くのである。事実、TVアニメ化による知名度上昇によって中の人ユニットとしてのμ'sのパフォーマンスの凄さも広まることとなり、6月に行われた3rd Anniversary Lovelive!の会場のキャパを大幅に上回る"ラブライバー"が生まれ、全国50を超える劇場でライブビューイングされることになったのである(余談だが、ライブ前日にうっちーこと内田彩twitter上でこの劇場を全て読み上げて「点呼」を取ったことは多くのラブライバーたちに「うっちーは天使」という認識を広めることになった)。

ここで注目すべき点は、声優ユニットμ'sが非常に高い精度でアニメーションPV(およびTVアニメのダンスシーン)を再現するという、「生身の声優(=現実世界)を作品世界に近づける」という手続きがなされていたことであり、これが多くの"ラブライバー"にライブ会場へ足を運ばせた動機なのではないだろうか。多くのアニメ作品において、イベントに声優を呼んで「作品世界の再現」を目指した展開が行われているが、これほどまでに高いハードルを越えた作品に僕は未だかつて出会ったことがないし、多くのラブライバー達もそう感じているということは想像に難くない。もっとも、こういった複雑な想像力云々の話題を抜きにしても声優ライブとは多くの人を引き付ける魅力があるので、こういった点だけがラブライブ!が広まった理由という訳ではないのだけれど。

ちなみに、ラブライブ!のプロジェクトは舞台が「秋葉原と神田と神保町の間あたりにある音ノ木坂学院」と公式に定められており、一応は現実の土地をモデルにしているが、"聖地"に秋葉原も含まれていることもあり、前述のような町おこし的にこのコンテンツが扱われていることはない(秋葉原ゲーマーズキュアメイドカフェがこの作品を推すのは微妙なラインであるが、一般的な宣伝とも捉えられるので深くは突っ込まないでおく)。神田明神にも多くの絵馬が飾られているが、元々アキバ系の著名人の絵馬が多い神社なのでさほど特別な感じもしない。とはいえライブ直前に「中の人」がこの神社に絵馬を飾ったりなどもしているので、巡礼するのは結構楽しいのだけれど。

創作世界は創作世界であり、一種のファンタジーであるため、モデルにしている実在の土地とも、声を当てている声優とも同一になることはできない。しかし、作品を深く読み込み、愛した者にとっては、その土地を訪れ、イベントで声優に「会いに行く」ことは、独自の想像力によって「作品世界を現実に降臨させる」体験に足りるものなのではないだろうか。


一応はひとつのテーマを貫いているとはいえ、森見登美彦から最終的にラブライブ!につながる突拍子の無さといい、今夜は一人酒で悪酔いしてしまったような気がしなくもない。来年2月のμ'sのさいたまスーパーアリーナでのライブにも行きたいし、京都にも旅行に行きたいな、という話である。

2014年を雑に振り返る

表題の通り、2014年を雑に振り返ります。
 
  • 引っ越し
3月末に引っ越して妹と2人暮らしを始めました。都内築30年家賃9万円ちょっとです。一人暮らしだった前年までと比べて、衣食住のうち食と住にかかる金が飛躍的に削減できているので、財政的にはかなりのアドです。
ちなみに妹も週15本くらいアニメを見るタイプの熱心なオタクなものですが、この点は一長一短です。コンテンツをシェアできることはもちろん長所なのですが、テレビもレコーダーも1台しかないのでアニメの消化はお互いにうまく融通しなければならない点が、時に足枷になります。とはいえ、逆に妹が見なければ(僕が帰宅するとしばしば彼女がアニメを見ているのです)僕が全く見なかったであろうアニメも多いので、やはり全体的にアドの方が多いと言えます。
 
とはいえ2人暮らしならではの軋轢も多いので、2年のみ(妹は専門学生)という条件付きだからこそ成立している、という気もします。妹と2人暮らしすることの是非についてはいずれ何らかの形で整理したいところです。(僕のようなケースはあまり一般的ではないとも思いますが・・・)
 
  • おたく
気が付いたら年間41イベントも行ってました。遠征もけっこうやったし、そりゃお金もなくなりますわって感じですね。
 
イベントにはガンガン行くようになった一方でアニメを見る本数はかなり減ってきていて(年間通算で20本も見てないのではないか?)、時間がないがお金はある社会人オタクとしての生き方を体現する存在になってきているような気がします。このあたりは自分の中でも賛否両論ですね。
ただ、数年前までアホみたいにたくさんアニメを見た経験は、数々のライブに参加するにあたって全く無駄にはなっていない、ということは間違いないです。アニメを知り主題歌を知れば、百ライブ危うからずや。
 
追っかける対象は三森すずこさんを中心に、それほど大きくブレはしなかったかなとは思いますが、ラブライブ!からはやや離れ、ミルキィに戻りつつあるような気がします(2014年12月地点)。思えば今年はミルキィ正月ライブに始まりミルキィ年忘れライブに終わる一年でしたね。
じゃあ一番楽しかったイベントはと言われるとなかなか迷いますが、三森すずこさんツアーに全力出してた6月が一番楽しかったような気がします。次点で何の前触れもなくユニバーページのイントロが流れたアニサマ2日目。あと印象深いのが大雪と戦った2月のμ's4thと、黒沢ともよ神に夢中だったシンデレラ1st(ライビュ)と、クソ暑かったミルキィFCイベントと、8月のトラハモ公録と、要はほとんど全部のイベントでした。
 
とはいえさすがに行きすぎている自覚はあるので、来年はイベント減らします。減らします(減らせるとは言ってない)。
 
  • 走る
今年のレースは以下の通りです。
2月 守谷ハーフ
3月 さいたまシティハーフ(PB)
5月 仙台国際ハーフ
10月 しまだ大井川フル
12月 所沢シティハーフ
 
3月に自己ベストを出したはいいのですが、そのあと上記同棲の事情等もありほとんど練習できていませんでした。とはいえ、9月あたりから某市民ランナーチームで練習し始め、12月にはハーフで1時間半切る程度には戻してきてるので、来年にはあわよくば3時間切っておきたいものです。
ちなみに3月のハーフベストも100km/月くらいの練習量で出してるので、ちゃんと練習できさえすればハーフもフルもまだまだ伸びると信じてる。フル3時間は切っておきたい。
皇居ラン友達は引き続き募集中です。当方キロ5で20kmくらいは走れます。
 
  • 喫茶店

出先で時間を潰す必要が有るときとか、ちょくちょく喫茶店に行くようになりました。メイドさんなカフェであったりそうでない喫茶店であったり。出先で時間を潰す必要が有るときとか、ちょくちょく喫茶店に行くようになりました。メイドさんなカフェであったりそうでない喫茶店であったり。

まだまだ物知りとは言えない程度の知識量なので、今後より研鑽を積みたい。

最初はjubeatをやっていたのですが最終的にリフレクに落ち着きました。8段まではいけたので師範代くらいまではいきたい。
 
  • 資格

たいした資格取ってないので来年はもっと頑張る。

 
 
大学の頃は学部関係であったり部活関係であったり、所与の人間関係に限定して生きてきたような気がしますが、今年は様々なルートで自分から人間関係を作ることができたと思います。
 
それでは良いお年を。

秋葉原酒飲み記録

「声優さんの幸せと、自分自身の幸せを混同してはならない。それでも、混同しちゃってるオタクが多いんだよね。」
 
「なるほどね。」
 
「ガチ恋なんかしちゃったらそういう区別をしている場合じゃないんだろうけどね・・・。」
 
「まぁ・・・恋は盲目っていうし・・・。
 
 
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「僕はけいおん!にハマったことで、ただアニメを見るだけのオタクから、声優さんのことを調べたり、二次創作イラストを集めたり、果ては自分でSSを書くようなオタクになったりした。オタクっていうのは本当は様々なあり方があるはずなのに、ひとくくりにされていることが多い。根が深い問題である。」
 
「なるほどね。」
 
「翻ってラブライブ!だって僕らにオタクとしての様々なあり方を提示してきた。元々G'sから始まって、楽曲、アニメPV、ライブ、そしてTVシリーズ、劇場版、スクフェス、聖地巡礼・・・公式が提示したあり方でもこれだけ幅が広いのに、オタクによる二次創作も含めるとさらに広範になる。」
 
「しかし、その広さがかえってライブ現場を無秩序にしているというあり方も。」
 
「そう。やはり、ラブライバーは年齢層が低い。おそらく、ラブライバーにはラブライブ!が原因でオタクになった、初めてハマったオタクコンテンツがラブライブ!である人が多いと思われる。」
 
「なるほど。そう考えるとスクフェスは無料で遊べる幅が広いから中高生にもウケたんだろうなぁ。」
 
「正直、ラブライブ!は大好きだし、愛してるし、何度も救われてきた。でも、現場にいって缶バッジをジャラジャラしてるオタクを見るのはいい気分になれないし、僕もラブライバーとして彼らと一括りにされてしまうのは苦しい。」
 
「そして僕らが葛藤を抱える原因となっている存在は、そんな葛藤を抱えることもなくオタクしてるんだろうなぁと。」
 
「まぁ、オタクってそんなものなんだろうよ。」
 
 
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「声優オタクのあり方もいろいろだよね。僕は単推しが多いとよく揶揄されるけど、例えば三森すずこさんに対する姿勢と大橋彩香さんに対する姿勢は同一ではない。憧れとしての推しと、応援としての推しは明確に区別されるべき。」
 
三森すずこさんに対しては、憧れとしての推し、だよね。」
 
「その通り。しかし、彼女のストイックさ、真剣さに惹かれているからこそ、僕は彼女のツアーに全通などしている場合ではないような気がしてきて、それもまた葛藤なんだよね。僕が自己のあるべき姿の投影としての三森すずこさんを求め、ライブに通えば通うほど、その姿は自分から遠ざかっていく。本当はもっとストイックに生きなければならないのに、何をやっているんだろう、と。」
 
「なるほどね。それで、後者の、応援としての推し、とは。」
 
「端的に言えば、ホリプロ声優なんかはこのスタンスで推しているオタクが多そうだよね。」
 
「しかし、どちらにしても、推すのが義務感化してきたら、それはオタクの退き時なんだろうね。」
 
「だろうね。オタクなんて社会で評価される存在じゃないんだから、そこは変にプライドを持って固執するべきではないんだろうね。」
 
「自然に冷めるにしても、何にしても、オタクはいずれ引退すべきだというのはわかっている。現場で40前後くらいのおっさんを見ると、さすがに自分はああはなりたくないな、って考えてしまう。」
 
「タバコみたいなもんだよな。」
 
「やってる人は辞めたいと思っている、だがなかなかやめられない。」
 
「そしてやめられない人に限って”やめます”という、と。」
 
「ほんとそれ。」
 

 

2/16 みるくらりあっとvol.6S

オールスタンディング6時間半とかいう僕の知る限りでは最も過酷なイベントです。

出演者からこれはもう素晴らしいパフォーマンスが見られるのではないかなって思ってたのですが、実際に行ってみると予想を遥かに上回るものを見られました。いやぁ本当に素晴らしかった。(物販トラブルを含め)過酷ではあったけど、それを耐えきって参加した甲斐はあった。



南條愛乃
まさかのスノハレ!僕としてはスノハレを歌ってくれたことよりも、ジョルノが落ちサビのオレンジを見て感動したって言ってくれたことの方がうれしかった。確かに9人のグループだとダンスの関係でえみつんしか生で見られないんだよなぁ。しかし全体的に予習不足だった(そもそもジョルノがミニアルバム出してたことすら知らなかった)ので、このあたり今後覚えていかねばならないところだと思ってる。もしかしたらブシロライブとかにも出るかもしれないし。

・遠藤ゆりか
ポニキャから声優とほぼ同時に音楽デビューした機体の新人!ということで一体どんな感じなんだろうと思ったけど、ライブ慣れしてたというか、ステージを楽しんでるんだなぁっていうのが凄く伝わってきたので良かった。あ、あっち向いてホイ優勝おめでとうございます。

・WUG
12月以来月1のペースでこの子らを見ているんだけど、やっぱり本当に成長しているんだなぁっていうのが伝わってきて良いステージだった。若いって素晴らしいね(若すぎて途中で帰らざるを得なくなっちゃったっぽかったけど)。あくまで主観だけど、12月の大阪みるらりの時と比べてレスの回数3倍くらいだったような気がする。音響トラブルがあったらしくてちょっとグダってたけど、彼女らだからステージ上で笑っちゃっても許されるみたいなところはあって、やっぱり若いって素晴らしい。持ち歌にも恵まれていると思うので今後もがんばっぺってほしいなぁ。

・ayami
大阪に続き2回目ですね。いがった

StylipS
ゆいかおりが抜けてStylipSオワコンになったかと思ったけど、そんなことはなかったぜ……!いや普通にいいですよ彼女ら。むしろゆいかおりが抜けたおかげでいい感じでまほちゆとのとっちが暴走してるんじゃないのかみたいなところすらある。声優として売れていた2大巨頭が抜けてますますアイドルらしくなったのでは。ワンコーラスをメドレーでつないだのも合わせて合計8曲も歌ったのも良かった。ただまぁ、観客に高まりすぎて裸になってた厄介なのがいたけど、高まる気持ちも分かるけど、ちょっとその印象が残っちゃってアレ。とはいえ、コラボ企画も含め今回見た中では最もインパクト強かった出演者だったように思う。

原田ひとみ
マシンドール推しだった。音ゲーかじってたおかげで回レは分かったけど、あとは予習不足だったな……。あ、仮に僕が女性声優だとしても、彼女とは共演したくないなって思った。

・かとふく
かわいい。

・佐倉沙織
脳味噌溶けた。

大坪由佳
持ち歌もなければ一番何しに来たの感強かったけど、まぁかわいいからいいか。

いとうかなこ
こういう所でしか聴く機会ないんだけどいいっすね。

三森すずこ
相変わらず素晴らしかった。今回は6曲歌ってサマーバケーションoutグローリー!inって感じ。ただ、やはりオルスタということで押し合いへし合い肘打ちもされとなかなか過酷で、本当はもっと前で見たかったけど、オタクと争うことばかりに気を取られて肝心のみもりんが見られないと本末転倒だし、ある程度妥協せざるを得なかった。最前中央あたりのグループは本当に帰ってくれって感じ(僕にみもりんを見せろという趣旨ではなく、みもりんの前でそのような無礼を働くなという趣旨の発言です)。まぁ知り合いに最前を確保した人もいたし、この辺りは立ち回り次第だったのかなぁという気もするが、そんなにオルスタライブに好き好んで行きたくもないので今回の立ち回りは割といい落とし所だった気もする。

それにしても、どうして人は三森すずこにハマるのか。深遠な問いだ。

 

今回は更新する時間があまりなくて投げやりですがここまでで。

2/8 2/9 ラブライブ!μ’s→NEXT LoveLive!2014 ~ENDLESS PARADE~ 感想その2

 

この思いを2日間寝かせて、色んな人とのやりとりとのログを見返して、ようやくそれなりに整理ができた。
今度こそライブ自体の感想を書きます。



・全体としては、本当に、凄かったとしか。本当は言語化するのも憚られるほどの神聖さのような高尚な何かをあのライブで感じたくらいなんだけど、そこを何とか頑張って何点か挙げてみる。

・まず、最初のキャラクター紹介の演出について。これ、素直に白状するとこのライブで一番ぐっときたポイントな気がする。というのも、これまで僕が再三に渡り主張してきたように(しつこい)、μ'sのライブの魅力は「生身の声優を作品世界に近づける(3次元→2次元)」というポイントにあるのではないかと考えていた。ところが、今回のライブの最初にあったキャラクター紹介の演出は「観客のカメラにCGキャラを重ねる」という、我々の世界の側にスクールアイドル達を降臨させる(2次元→3次元)、これまでとは真逆の手続きが行われていたわけで、本当に一本取られたし、彼女らが現実世界で踊っているかのように結構本気で錯覚してしまった。正面から襲われる準備を万端にしていたのに背後から刺されたような虚を突かれた気分だった。ライブの内容をあまり覚えていないのもこの演出に完全に持って行かれてしまったからというのもある。あの場面で「えっ実は客席の上で踊っているμ'sが見えるの?もしかしてこの席の近く?大閃光折って確かめる?」と感じて会場中を見渡したのは僕だけではないはずだ。きっと。2日目は機材の調子悪かったのか途中からしか映らなかったのが本当に残念。

・本当に衣装が良かった。予算が増えているからというのもあろうけど、毎回我々の期待を超えるレベルのものを用意してくるのは本当にさすがとしか。パンフも3000円出す価値がある。もっとも衣装という点に関しては、2日目はスクリーンがあんまり見えない席だったのもあってそこまではっきりと覚えていないので、終わった後のキャストのTwitter上での画像のやりとりなどを見て改めて「はぁ…」ってなってる面も多いけど。写真付き公式レポまだかなぁ。

・圧倒的にサービス精神が旺盛だった。頭皮を痛めながらがっつり髪を染めてとさかまで作る内田彩さんは本当にさすが。それからファンの側でのキャラクターの在り方(いわゆる二次創作)をしっかりと踏まえた上での演出。具体的にはアンコールのにこまきとかにこまきとか、あとにこまきとか。衣装を直す(脱がす?)jolskとか。特に硝子の花園のコンビがそこまでやる?やる?ってくらいに濃密。1日目の方は200レベルかなり前の方だったからジョルノを本当に近くで見られた。アンコールの「10人目のμ's」演出も昨年6月に行われたμ's 3rd Anniversary LoveLive!(以下3rd)のアンコールを踏まえたものだった。(もっとも、こういった点に関しては「媚びている」という反論も予想されるのだけれど)

・あれだけ広いアリーナ、花道を余すところ無く使うパフォーマンスをしていたのは本当に凄かった。ただでさえPVの激しいダンスをやっていたろうに、ユニット、ソロ曲となると花道ダーって走ってステージでワーってやって、もう本当に体力お化けかって。終わった後にアリーナA席当たった人と話したりもしたけど、本当にああいう席で見らてた人が羨ましいぞ……。

・1日目と2日目とのセットリストはほとんど同じだった(後述)。が、2日目のほうが心なしかキャストがライブを楽しんでるんだなぁ、という印象を受けた。ただ、休憩時間もといピクチャードラマが2日間全く同じだったのもあって、2日目は観客が全力で休憩してしまってその分レスポンスがあまり良くなかったかな?という気もした。その点アンコールで使ったアニメがちょっと変わっていた点に関しては、ようそこまでやるな、という感じだったけど。セットリストに関しては今までもそうだったように「9人でこそのμ's感」があって、常に何らかの一貫性が見えてくるのだけど、それによって構成上どうしてもライブで出す機会がなくなってしまう曲があってしまうのは残念な気もする(例えば穂乃果の愛は太陽じゃない?は出てからかれこれ2年経つのにライブ未披露で、いずれ聴きたい曲のひとつでもある)。

・3rdの時に強調されていた「最初の頃はこんなに売れなかったのに~」といった点を一切出してこなかったことは、このライブでμ'sは"NEXT STAGE"に到達したんだな、ということを強く感じさせた。今になったから振り返ってネタにできるけど、去年の今頃(アニメ1期放送中あたり)は本当にこんな無茶をさせるコンテンツいつ破綻してもおかしくないな、と思っていた。実際に昨年1月のμ's New Year LoveLive! 2013(以下NY)ではジョルノが不参加だったわけで、さらに昨年4月からみもりんはソロデビューしちゃうしで、これはもうμ'sの練習してる場合じゃなくなるんじゃないかって非常に心配していたので、だからμ'sがこのライブを行えた事自体が奇跡なんじゃないかとさえ思える。昨年3月のベルサールでのシークレット()イベントの際はあれだけ不安そうにステージに立っていたくっすんもSSAでこんなに毅然として……とか、南條さん相変わらずどころかますますエンジョイしてるなぁ、とか、りっぴー若くて元気だなぁ、とか、本当にこのメンバーには無限の可能性を感じるなぁ、と改めて感じた。何にせよ、ステージを踏むたびに新しい感動を届けてくれる彼女らは本当に素晴らしいし、その裏にある努力も一体いかほどのものだったのだろうかと考えるともう本当に、さすがとしか。

・この「今までのμ'sとは違った、新しい姿のμ's」という点に関して、何人かの方と意見交換したところ、人によっていろいろな見方があった。僕は前述のように3rdまでのライブを一区切りとして、さいたまスーパーアリーナという大舞台でもしっかり踊りこなせるくらいの実力をつけたのだなぁという、肯定的な意見なのだけれど、中にはこのような大舞台に立つことで、かえってμ'sが遠くの存在になってしまった、という声もあるようだった。確かにラブライブ!というプロジェクトは元はといえば読者参加型の誌上企画として始まったのだが、今はもうアニメ、声優、楽曲のコンテンツという面が強くなっているという面について異論はないと思う。かつての小さな会場でやってた頃のように間近で観客の声を聴くというよりはむしろ、μ'sが見つめるのは次のステージ、来年のSSAスタジアムモードなのではないか、という意見を聴いた時は、ああなるほどな、と思った。以前、電撃G's読者でありラブライブ!古参の方がアニメ以降増えたにわか百合豚のことと、それを明らかに意識している公式(主にアニメスタッフ)に対して苦言を呈していたのを見たことがあるが、売れはしたしレベルは上がっているものの、企画の当初の形とは全く違うものになってしまっているのだろうなぁ、とはアニメちょっと前あたりにこのコンテンツに入ってきた新参の僕でも理解できるところである。特にこのような喪失感を強く感じるポイントは、これまでのライブに毎回あったアンコール後の個人挨拶がなく、あっさりと歌って終わって退場していったことだという意見もあった。この辺りのコンテンツの大規模化(商業的成功)とファンとキャストとの距離感のバランスの落とし所は非常に難しい所だと思う。果たしてラブライブ!は、当初掲げていたように真の意味で「みんなで叶える物語」を体現するコンテンツとなるのか、それともこの表題は単なるイデオロギーとなってしまうのか。

・実際に僕も、これまで何度か見る機会があった「ステージ上のμ's」と今回の「さいたまスーパーアリーナに立ったμ's」は全然違う存在なのだなぁ、と感じるところがあった。なんというのだろうか、彼女らはまた「偶像」「アイドル」に一歩近づいたのかなぁ。不思議な感覚だった。前述したファン~μ'sの距離の遠さが、逆に僕にとってはμ'sに惹かれる一つの要素でもあったというか。(この話を続けると気持ち悪い人になってしまうので程々にしておく)



・それにしても、つくづくラブライブ!で人生をダメにしてしまったことだなぁ。ラブライブ!がなかったら健全な人生だったかというと必ずしもそうではないような気もするけど、むしろ他の何か(いわゆる酒タバコパチンコ風俗みたいなの)で人生をダメにしていた可能性もあると考えれば、ラブライブ!で人生をダメにしている今の人生はいくらか幸せなのだろうか。ああもうこういうことを考えるのはやめよう不毛だ。僕はきっと幸せなのだ。


最後になりますが、新田恵海さん、内田彩さん、三森すずこさん、久保ユリカさん、飯田里穂さん、Pileさん、徳井青空さん、楠田亜衣奈さん、南條愛乃さん、そしてスタッフの皆様、会場周辺で僕に付き合ってくださった各位、ありがとうございました。



<参考>
セットリストは以下の通りでした。

【1日目】
01. Music S.T.A.R.T!!
02. 僕らは今のなかで
03. 夏色えがおで1, 2, Jump!
04. Wonderful Rush
05. ススメ→トゥモロウ
06. 夢なき夢は夢じゃない
07. Anemone heart
08. なわとび
09. Beat in Angel
10. にこぷり♡女子道
11. 硝子の花園
12. LONELIEST BABY
13. 輝夜の城で踊りたい
14. もぎゅっと "love" で接近中!
15. baby maybe 恋のボタン
16. LOVELESS WORLD
17. No brand girls
18. Snow halation
 [Encore]
19. START:DASH!!
20. 友情ノーチェンジ
21. 僕らのLIVE 君とのLIFE
22. きっと青春が聞こえる

【2日目】
1日目のうち、5曲目~11曲のみ以下に変更。それ以外は全く同じ。

 

05.微熱からMystery

06.キミのくせに!
07.Cutie Panther
08.夏、終わらないで。
09.UNBALANCED LOVE
10.Pure girls project