声優史学

声優さんとお酒

三森すずこさんの2ndライブ「Fun! Fun! Fantasic Funfair!」に参加した話

掲題の通り、三森すずこさんの2ndライブに参加してきました。
僕がチケットを得られたのは結局6/28と7/11のみでした。
6/27外した時は死ぬかと思ったけど、その後当日券も取れなくてまた死ぬかと思ったけど、結果的に2/3得られたので良しと思い直して。

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前から4列目とかいう近さ、もう当分ないだろうなぁ…という思いを噛み締めていざ舞浜。 

 


今回のライブ、端的に言うとアルバム「Fantasic Funfair」を演出極大パワーアップしてライブにしたようなものでした。

声優「三森すずこ」のイベントというよりは、彼女の2ndアルバムの世界観を再現するべくセッティングされたショーが今回のライブで、三森すずこさんも、バックダンサーや舞台装置と同様に(後述しますが、考えようによっては観客もこの中に含まれる)、あくまでそのキャストの1人であり、構成要素の1つに過ぎない、と感ました。

 

しかしながら、そのような1つのショーを構成するパーツとして、つまり役者としてのパフォーマンスの高さに関して言うと、やはり、もう、三森すずこさんは最高としか。
三森すずこさんはこのショーのメインキャストであり、移動式遊園地の支配人という肩書(設定?)を持ってはいるが、演出、舞台装置、バックダンサー、全て揃ってのショーを魅せるということが主眼に据えられていると強く感じました。

 

そのようなことを感じる要因の1つが、バックダンサーの人数の増加です。普通、声優さん自身をフィーチャーさせるようなライブであれば、バックダンサーなんてそんなに必要ないわけで、それでも昨年の1stツアーよりもたくさんの人数(8人!)をバックダンサーに起用した(そこにコストをかける選択をした)ということは、つまりバックダンサーも合わせてのショー、という構成され方と言えますね。

 

もう1つ、同様にHeart Collectionという曲における特殊な演出についても触れたいと思います。この曲が始まるときに、観客にライトを消せという指示があり、ステージには薄いカーテンが引かれ、三森さんはその奥で歌うという、この手のライブとしては前代未聞の演出でした。

 

元々、公式からライトの色に関する指示はあり、オタクも含めて1つのステージを作りましょうねという意思は表明していたものの、まさかその延長で「消せ」という指示までするとは…という。

 

不意に刺さる推し曲を楽しむ、改チアを振り回す、いろいろなライブの楽しみ方があるとは思うのだけど、その点、三森さんのライブはある程度楽しみ方を限定してしまっているので、この「観客もキャストの一部」哲学には賛否両論あるとは思いますが。*1

 

さて、以上にて散々役者としての三森すずこさんについて語ってきたところではありますが、6/28のサプライズ演出(プロレスラーによる誕生日祝福ビデオレター)を喰らった三森すずこさんは、珍しく素が出てしまったのかなぁと思いました。完全にプロレスオタクの顔でした。

ステージ上では基本何かを演じきるのに全力な三森さんだけに、ちょっぴり素が垣間見えたのはのは本当に貴重でした。あのオタクっぽさが全部とっさの演技だとしたら役者としても最強だし、どっちにしても三森さん最強です。

 

近年盛んな声優のアイドル売り商法(サイン会や握手会といった接近イベント)よりも、
ライブステージの方が三森さんには間違いなく向いてるし、個人的には今の方向でそのまま突き進んで欲しいと思っております。

というのも、僕自身、声優さんが尊すぎて近づけない気持ちや、果たして声優さんはオタクに接近されることが楽しいのか?という思いがどうしても拭えず、接近イベントというものに対する適切な振る舞いを未だに掴み損ねている、というのもあります。*2

もちろん、個人のオタクとして認識されることの楽しさも(アフィリア等の他のオタクの話を聞くに)あるのだろうとは思いますが、それでも僕は名もなき一人のオタクとして応援するだけで十分と思っています。

 

それにしてもみも現場、女性率もどんどん増加しているし*3、ウェイでワイワイなオタクが多くて、なんかこう、もっとオタク!!!って人がいないものかなぁという思いがある。

まぁそんなの関係なくまたに足を運ぶんだろうけど。


何はともあれ、今年も三森さんのステージが見られて良かったと十分に思えるライブでした。

 

セトリ等は以下の公式レポをご参考に。(6/27と6/28分のみですが)

news.mynavi.jp

 

それにしても、他の某9人組ユニットとか某4人組ユニットとかの今後の活動はあるけど、ソロとしての活動は特に出演予定もないみたいだし、近くにアニタイもないし、今後どうなっていくんだろうという思いはあります。またアニマックスなりリスアニなりのフェスにも出てくれたらなぁとは思っているのですが、果たしてどうなるか…。

 

・蛇足

*1:ちなみに僕は三森さんのステージの一部になれるなら喜んでライトも消すし色も従う派です。

*2:接近するタイプのイベントには未だに3回しか行ったことはありません。

*3:「ミモリアンガールズ」はパンフでも使われる公式用語となったようです。

P's LIVE! 02 ~Love & P's~

3月8日(日)に横浜アリーナにて開催された掲題のイベントに参加してきました。ざっくりですが感想をまとめてゆきたいと思います。

・前回のP's LIVE! 01@五反田ゆうぽうとホールで味をしめたポニーキャニオン、2回目はまさかの横浜アリーナ。しかも5時間半以上休憩なしの長丁場。さすがにいきなり規模大きくしすぎだろ感は否めなかったものの、いざ行ってみると期待していた以上には楽しいライブでした。ポニーキャニオン最高!(手のひら返し)

・個人的には村川梨衣さんの頑張りが非常に際立っていると感じられました。ニコ生等であの異常なテンションを何度か拝見はしておりましたが、やっぱり生で見るりえしょんは格別でした。それほどライブ経験が豊富でないながらも前半に出番が密集していたりソロの曲もあったりと非常に見せ場が多く、それでいて良いパフォーマンスでした。相坂優歌さんと共に90年生まれ声優界隈を盛り上げて欲しいと願ってやまないものです。

・前回ソロで出ていたアーティスト達、特に内田真礼さんと遠藤ゆりかさんのパフォーマンスも非常に惹かれるものがありました。自身が黒崎真音のライブで頭を抱えながらオタオタする遠藤ゆりかさんもステージに立つとアーティスト然とするんだなぁ、と思ったり、内田真礼さんのソロ活動に向けた想いがMCで聞けたり。


・それにしてもソロアーティストで固めてきた前回と比べると、今回はアニメ発ユニットの数が爆増しており、今後このような声優ユニットを売り込んでいく傾向が強くなっていくのだろうなぁ。ただ、こういう機会でもないとなかなかライブに出られないユニットもあるのも事実なわけで、出演者の側にとっても良い経験となったのだろうなぁとも感じました。ロリガの子は2/4が初ライブだったとか。



何にせよ、ソロアーティストを中心にポニーキャニオンが抱えている声優さんに気になる方も多いし、来期気になるアニメ筆頭であるところのSHOW BY ROCK!!もポニーキャニオン製だし、まだまだポニーキャニオンのお財布をやめられそうにないなぁ、と改めて感じるところでした。

オラァ!イベントだ!上映会だ!声優さんの登壇だ!さぁ金出せオタク共!というポニーキャニオンの売り方には最近ついていけなくなりつつあるのですが、その元で頑張っている声優さんたちは応援すべき存在であることに変わりないわけで、今後もマイペースに応援していけたらなと思うところです。\無理をしない!/

 

 

・おまけ

 

 

ライブ終演後から声優さんの有益な画像がたくさん流れておりますが、僕はこの画像のりえしょんが一番好きです。TVアニメ「えとたま」、期待しております。

 

 

セトリに関しては以下の公式レポをご参考下さい。


ポニーキャニオンの今が詰まったスペシャルライブ「P’s LIVE!02~LOVE&P’s~」が開催 | ポニーキャニオン公式ニュースサイト

 

μ's GO→GO! Love Live ~Dream Sensation~(その2) -だから本当に今を楽しんで みんなで叶える物語 夢のStory-

前回の記事では、"創作世界と現実世界"を混在、同一化させ、我々に夢のような世界を経験させることが、ラブライブ!の魅力であると述べた。
だがそれはオタク的な想像力を根拠にしたものであり、もしもオタクの間だけでこの熱狂が完結しているのだとすれば、これだけの人気と支持を説明するのに不十分ではないか。

そこで、今回はもう1つのテーマと僕が考える"成長"について述べていきたい。

 

※前回の記事も併せて読んで頂ければ幸いです。

 


μ's GO→GO! Love Live ~Dream Sensation~(その1) -奇跡それは今さここなんだ みんなの想いが導いた場所なんだ- - 声優史学

 


・アイドル観と日本社会、時代の雰囲気の相互関係

AKBグループに代表される現代のアイドルは、いわゆる昭和のメディアに支えられた「アイドル」とは決定的に異なった点がある。最初から偶像性・神聖性がプロデュースされた、いわば"完成品"として売り出されていた昭和のアイドルとは異なり、現代のアイドルは、最初から"完成品"として売り出されているというよりは、むしろ"未完成"から"完成"へという、その"成長の過程"を強調いていることが特徴と言える。*1

 

このような変化の根底には、日本全体としての社会・文化の潮流の影響も少なくはない。以前は今のようにインターネットによる情報共有が普及しておらず、テレビを中心としたマスメディアにより、人々の見識は支配されていた。大衆はみな、同じようなテレビ番組を見ていた。しかし、インターネットの普及とマスメディアの権威の(相対的な)失墜により、人々はそのような"大きな物語"を失い、無数の"小さな物語"が乱立することとなった。*2

 

人々の物事の考え方の違いは、経済情勢による影響も少なくはない。端的に言うと、(僕を含め)平成に生まれた世代は、経済が持続的に発展するということに対し、懐疑的である。生まれてこの方、不景気と言われ続けて生きてきたのだから、生きていれば持続的に"豊か"になるのかどうか、懐疑的にならざるを得ないし、そもそも経済的に"豊か"になるという実体験がない。本当にこの先、我々は"豊かさ""成長"といったものを手に入れられるのだろうか。そして、経済的に"豊か"であることが、自己の人生を幸せにするのだろうか。

 

冒頭の話題に戻るが、それにひとつの答えを出すのが、現在のアイドルブームであるように感じる。アイドルを見守り、応援する我々は、彼女らに何を求めているのか。それは、他でもない"成長"であると、私は考えている。"成長"への憧れであったり、自己投影であったり、その方向は様々かもしれないが、根底には我々の"成長"への渇望があるのではないか。アイドルを応援し、彼女らの"成長"を見届けることこそが、先行きの不安な今の世の中に生まれた若者の生きる糧となっているのだ。

 

・現代的アイドル観の形成と、それをテーマにしたアニメの在り方

ところでこのような現在の"アイドル"ブームは、生身のアイドルだけではなく、創作世界つまりはアニメーションの中にも浸透している、ということに異論を持つ人はそう多くはないだろう。そして、そのような文脈でアイドルものアニメを見ていくと、ここ数年のアイドル系アニメが驚くほど先に述べたような"成長"を一つのテーマとしていることに気づくはずである。

例えば『アイドルマスター(TVアニメ版)』でも、765プロダクションのアイドルたちが徐々に成長していく過程を描き出す物語であるし、『アイカツ!』はスターライト学園でアイドルを目指す女の子の物語である。いずれにしても、"アイドル性"なるものは所与のものではなく、成長の過程で獲得していくもの、いわば後天的なものとして、その過程を魅力的に描き出している。*3

もとよりアニメーション作品のファンは"ストーリー"への志向が強い(同人誌、オンリーイベントの隆盛を考えると一目瞭然である)というのもあり、ある意味では生身のアイドル以上にフィクションのアイドルは"成長物語"への憧れを背負っているとも言える。*4


前置きが長くなってしまったが、これらの観点から『ラブライブ!』という作品を見た時も、同じようなことが言えるだろう。この作品は、音ノ木坂学院に通う高校生がアイドルグループを結成し、そしてアイドルとしても、人間としても"成長"していく物語である。最初は恥ずかしがり屋さんだった星空凛が、自分の可愛らしさへの自身を獲得したり、緊張しやすく人前に立つのが苦手だった園田海未が、だんだんとステージでのパフォーマンスを楽しめるようになったり、そのような"成長"のモチーフが随所に散りばめられている。我々は、だんだんと"大きく"なってゆく彼女らの姿を渇望している。

 

ライブイベントもまた、観客と一体となって"成長"を感じるイベントなのである。3rdライブで演者がステージで語った「最初は本当に小さな存在だったけど、ここまで大きくなった」ことに対する感動の涙は言うまでもない。今回の5th公演でも前回の単独公演(4th)からほぼ1年と、結構なスパンが開くこととなったが(その間にアニメ2期が放送されたり、声優ユニットとしてもアニサマランティス祭りなどのイベントに出てはいたが)、期待を遥かに超える素晴らしい出来であったと、多くの参加者が思ったことであろう。衣装、機材、演出、そして演者のパフォーマンス、どれをとってもこの1年間で本当に"成長"を感じさたし、また次のライブでももっとパワーアップした姿が見られるのだろうという確信を我々に与えてくれた。*5


・これからのラブライブ!

以上に見てきたように、"成長"のモチーフがラブライブ!の核であると言える。逆に言えば、"成長"し続けることはラブライブ!というコンテンツに課せられた宿命であるし、彼女らが"卒業"を宣言する時というのは、すなわちこれ以上の"成長"を放棄してしまう時なのだ。

 

アニメ2期にて、彼女らの物語は一度、卒業という形での区切りを迎えた。一方で、13話の最後のカットにて、同時にまだ彼女らの物語に何らかの展開があることも暗示させており、ちょっとした反響を呼んだ。変に引っ張らないで卒業させるべきだとか、そのちょっとした演出で余韻が台無しになるとか、そういった類の意見である。正直に申し上げると、僕もそう思っていた。ブシロードはまだ金のなる木を手放したくないのだな、と。

 

しかしながら、今になって思い返せば、そこで卒業を宣言するということは、すなわち"成長"を諦めてしまう、ということになるのではないか。これまでに述べてきたとおり、ラブライブ!は単なるアニメだけではなく、声優ユニットの存在も裏に匂わせるようなコンテンツとなった。アニメの物語としては一区切りだとしても、声優ユニットとしての彼女らはまだまだこれからの存在なのである。

 


きっと、NEXT WINTERに予定されている次のライブでも、ますます"成長"した彼女らのステージが見られるのだろう。

今回の5thライブは、前回4th以上にそういった強い確信を抱かせるものであった。

 

 

最後になりますが、キャストの皆様、スタッフの皆様、参加者の皆様、そしてよく僕のくだらないオタク話に付き合ってくださる皆様、ありがとうございました。

*1:AKBオタクであり社会学者の宇野常寛氏の言葉を借りれば「参加型ゲーム」とかそういった所の特徴。詳細は『日本文化の論点』あたりを参考にされたい。

*2:僕は東浩紀氏の『動物化するポストモダン』あたりの書でこういった概念を知りましたが、ポストモダン研究としての源流がどのあたりなのかいまいち理解しきっていないので、ご存知の方がいましたら教えていただけるとありがたいです。

*3:詳細は割愛するが、『Wake Up, Girls!』『普通の女子高生が「ろこどる」やってみた』等も同様のテーマの作品群と言える。

*4:オタクにもいろいろな人がいるもので、缶バッジをじゃらじゃらと身にまとって他のオタクに見せびらかすことで承認欲求を満たすタイプのオタクは本件に該当するか分かりませんが。

*5:何度も申し上げるようで恐縮ですが、僕が今回特に1年間で変わったと思ったのが三森すずこさんと楠田亜衣奈さんの2人。三森さんはミルキィ4人にいるときに比べるとμ'sメンバーといるときはどことなく硬い感じを今までは受けていたのですが、5thではメンバーとの距離も縮まって伸び伸びとしている印象を受けた。楠田亜衣奈さんは初期の頃に比べて技術的に向上したことももちろん、ソロ曲のステップであったりDancing stars on me!の間奏のスピンであったり、とても以前とは比べ物にないほど自分のパフォーマンスに自身が持てているような感じが伝わってきて、人ってここまで成長できるんだな、って。2日目公演が自身の誕生日だったから見せ場も多めだったというのもあろうけど。

μ's GO→GO! Love Live ~Dream Sensation~(その1) -奇跡それは今さここなんだ みんなの想いが導いた場所なんだ-

さる1/31,2/1の2日間、μ's GO→GO! Love Live ~Dream Sensation~(通称「5th」)に参加した。
本当に素晴らしいライブであった。

 

参加した方々の感想を伺うと「言葉にならない」と返ってくることも多く、それはそれで一種の真理を突いているのだが、僕は、敢えてこれを自分自身の言葉において解き明かし、伝えるという、無理難題に挑戦してみようと思う。それがかつて僕が"文"の学府を修めたことに対する、というよりはあの学んだ場に対する、せめてもの恩返しになればと考えている。

なお、本記事を書くに当たって、僕が以前に書いたラブライブ!関係の記事も、併せて読んでいただけると幸いです。本記事も、過去に触れたことは適切に端折りながら進めていきます。

 


2/8 2/9 ラブライブ!μ’s→NEXT LoveLive!2014 ~ENDLESS PARADE~ 感想その1 - 声優史学


2/8 2/9 ラブライブ!μ’s→NEXT LoveLive!2014 ~ENDLESS PARADE~ 感想その2 - 声優史学


【過去記事再掲載】聖地巡礼と声優イベントと~創作を現実に降臨させる想像力 - 声優史学


【過去記事再掲載】2013/3/10 ラブライブ!シークレットイベント μ's in Wonder Zone - 声優史学


僕はかねてから『ラブライブ!』という作品が2次元と3次元とを上手に交錯させ、我々を夢中にさせてきたことについて主張してきた。そして、今回のライブも、それを非常に上手に表現していたといえる。全体の構成はアニメ2期を中心に据えつつ、それでいて衣装、ステージセット、小道具、さらには演者のパフォーマンスに至るまで、本当に我々の期待のはるかに上を行くクオリティであった。Love wing bellではまさにアニメで描かれた光景をキャストたちが完全といっても良いほどに見事に再現していたし、ステージセットはラブライブ!本戦をモチーフにしたセットだったし、果てはアンコールアニメでキャラクターに"中の人"の自己紹介を再現させたり、細かく挙げていけばキリがない。


Wonderful Rushに寄せて

僕が初めてラブライブ!を知ったのは2012年3月のブシロードカードゲームライブ(愛知)であるが、本格的に夢中になったのは同年10月ごろ、Wonderful RushのPVを目にした時からである。曲もPVもとても疾走感があり、であって秋葉原羽田空港といった知っている風景が登場する。いや、単に登場させているだけにとどまらない。滑走路にステージを建てたり、落ちサビで噴水を炊いたり、あんな演出は実在のアイドルでは到底無理だろう…!これが僕が実在ではなく、敢えて非実在の、創作のアイドルを推す理由たるのだ…!と、あっという間に音ノ木坂の世界にのめり込んでしまった。*1

そんな僕にとって想い出深い曲であるWonderful Rushを、今回の公演では両日ともに聴けて本当に良かった。2日目はさすがに端折られると思ったけど、結果としてやってくれた。この曲を聞くと卒論に煮詰まってはPVを流して家で一人踊っていたあの頃を思い出して一人泣いていた。

 

・2次元と3次元の相互依存と共生

巧みに2次元と3次元を交錯させていることがラブライブ!のライブイベントの魅力であることは先に述べたが、これをさらに細かく分けると"2次元を3次元で再現する"手続きと"3次元を2次元で再現する"手続きの2種類に分けられる。

先述したとおり、今回の5thは、アニメのストーリーをなぞる形で進められていた。これは紛れも無く"2次元→3次元"というプロセスである。先述したアニメーションPVの振り付けの再現、飯田里穂さんのドレス姿、ステージの形や照明機材、どれもがアニメの再現であるし、多くのファンはこの"創作世界を現実で再現する"という夢の様な時間を求め、さいたまスーパーアリーナへ足を運んでいるのだろう。
しかし、その中にごく一部ながら、"3次元から2次元へ"という、いわば逆輸入的なプロセスが含まれている。先にも述べたアンコールアニメーションで、声優さんの自己紹介をμ'sのキャラで再現したのである。単に自己紹介にアニメ映像をつけただけでなく、キャラクターに中の人の仕草を再現させたのだから、本当に驚きであった。*2

 

このような2次元、3次元の相互依存の関係を作り出し、現実世界と創作世界との区別をどんどん曖昧にしていったことこそが、5thライブ参加者の多くが余韻を数日間引きずるほどの体験をさせる原因となったのではないだろうか。そして、この不思議な感覚を求めて、多くの人が夢中になるのではないか。*3

 


さて、様々な御託を並べてきたが、以上の要因を述べてもラブライブ!の古今の商業的成功を説明するにはまだピースが足りない。
2次元と3次元とを交錯させる手続きは、オタク特有の想像力に支えられているため、オタクではない者による支持を説明するには物足りないと僕は考える。オタクによる支持の別レイヤーで、近年の中高生に特有な、カジュアルにオタク文化を楽しむ層(僕はこういった存在を"マイルドオタク"とでも呼びたい)による支持が非常に大きかったのではないか。*4

 

彼らにとって(もちろんオタク層にとっても)拠り所となっていた、もうひとつの重要なテーマである"成長"という軸については、次の記事で詳しく述べていこうと思う。

*1:余談だけれども、その衝撃的な出会いの数カ月後に描き上げた僕の卒業論文は、秋葉原と神田と神保町の間あたりに存在するキンコーズ淡路町店で製本された。

*2:4thではオープニングの演出で、スクリーンに客席を映しながらその上でμ'sのキャラクターが踊っているCGをはめ込むという演出がなされていたが、これも同様の手続きである。詳細は上記に紹介した4th感想記事で述べているので、ここでは割愛する。

*3:もっとも、このような手続きは何もラブライブ!に特有のことではなく、いわゆる現実の土地を背景にしたアニメを制作し、ファンがその土地を探訪する"聖地巡礼"もこのような想像力が元になっていると言える。声優とアニメとの関係でいえば、『Wake Up, Girls!』『アイドルマスター』等のコンテンツで、声優のパーソナリティをキャラクター設定に取り組む手続きがされている。詳細は割愛するが。

*4:詳細な分析は行わないが、ブシモで展開されているスマホアプリ「スクールアイドルフェスティバル」のブレイクを支えたのがこのような層だと僕は推測している。

【過去記事再掲載】2013/3/10 ラブライブ!シークレットイベント μ's in Wonder Zone

過去ブログの記事移植Part2。

1期放送中に行われた無銭イベントに幸運にも当選したので、史料的価値も割りとあると思いますし、これを期に共有しておきたいと思います。

 

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8話試聴直後の勢いで申し込んだら当選してしまったので行ってきた。
事情を理解してもらえるバイト先で良かった。

 

公式レポがそのうち上がるらしい…けど上がってこないので記憶の範囲で適当に書くよ。

 

・生μ'sは去年のカードゲームライブ以来、つまりちょうど1年ぶりだった。もっとも、当時はミルキィと多少キャストがかぶっている程度の情報しかなかったし、本格的にラブライブに感染したのは昨年10月からなので、当時は初見でポカーンとしてラブライバー怖いって思った程度なのだけど。

・整理番号は300番台。様子を見る限り当選者は400人程度のようだった。

・イベントは合計1時間程度で、「これから総選挙をやるなら自分のキャラのどこを推す?」というお題のトーク→9話上映会生コメンタリー付き→僕らは今の中でのライブ(OPサイズ)という流れ。

・スレからWRの発売後イベントではトークのみだったという情報を得ていたので、正直これは予想以上だった。お腹いっぱい。

・個人的ハイライトは\ダレカタスケテー/\チョットマッテテー/の一回目がいまいち反応薄く不発だった時にそらまるが真っ先にフォローしていたこと。そらまる、譲崎ネロとかにこにーみたいな役を当てられているけど実際は非常に周りが見えて的確なフォローを飛ばせる人なんですよね。ミルキィだといず様が暴走する、みもりんに飛び火する、そらまるがフォローする、みころんが微笑む、みたいな流れが一種の様式美になっているし、ライブでの体力不足(これも相当成長しているんだけど)がネタにされることが多いけど、こういうそらまるデキる子的な側面がもっと知れ渡ってくれるといいなぁ。

・シカ子の挨拶はにこりんぱなでは恒例のネタだけに浸透していないのがむしろ意外だと思ったんだけどな…僕はそんなに引き返せないところまでハマり込んでしまったのだろうか。

・みもりんはミルキィにいる時の方が輝いているような気がしたなぁ…最近ソロデビューもあるし忙しいだろうし疲れてるのだろうか。

・みもりん「石田とあさくらも見てねー!!」

・9話上映会、この話に込められたメタ的な伏線(「来週の日曜日この場所でライブ」とは明らかにこのイベントのことを指していたり、劇中で歌っていたのもベルばら前だったり、クレジットにもベルサールが載っている)を明かしつつの鑑賞となったわけだけど、この展開はどことなくブシロードっぽいやり方なのではないだろうかと思ったりした。CMをバンバン撃ちまくるのも要は話題性集めって点で通底しているというか。

・まぁスクリーンは小さかったけど。

・キャストも上映に見入ってしまってそんなにはっちゃけてはいなかったような。

・この形式の上映はオルタナミルキィ上映会でも体験したけど、生で聞けるってのは本当に至高だなぁと改めて思った。

・最後に僕らは今の中でのダンスを(ショートバージョンだけど)初披露。念のためというつもりだったけど、わざわざ12色ライトを買ってきたかいがあったぜ。

・無料のイベントだったからここまでしてくれるとは思わなかった。

・ここで踊ったということはおそらくカードゲームライブでもやるんだろうなぁ。行きたい。

 

・ところでこれ、シークレットイベントという案内だったけど実際はシークレット()であった。場所が秋葉原のどまんなかだし、ベルサールの柱には当日限りでポスター掲示していたし、音声は外にも聞こえていたらしいし。というか外でサイリウム振ってる人もたくさんいたし。

 

・でも中に入れたのは凄く優越感があったというか、なんか自慢か煽りみたくなっちゃうけど、とにかく実質オープンなイベントとなったけどむしろそれが当選してよかった感を高めたとも言える。

 

・ラブライバーは怖い(1年ぶり2回目)。

・もちろんそこまで(シークレットとして募集しておいて実質シークレットになっていないあたり)プロジェクトの宣伝を司るブシロードの計算通りなのだろう。ブシロード系コンテンツはわりと大胆な話題集めをしでかしてくれるので見ている分には結構楽しいのだけどなぁ。

ラブライブはアニメーションPVをあれだけの出来で(声優ライブの範疇でありながら)再現するのは本当にすごいと思うんだけど、同時にキャストに結構な無茶を強いているのも明らかなので、ナンジョルノがレッスン不足でニューイヤーを欠場してしまったような破綻がいつ起こってもおかしくないと思っている。もっとも、これだけ流行れば相応のギャラも出るだろうし、事務所もラブライブを優先してくれると思うけど。明日は我がみもりんか。響所属だから大丈夫かな。

・僕個人としてはアニメーションPV(Wonderful Rushが直接的なきっかけ)がツボでラブライブという沼にハマってしまった人間なので、あのダンスを再現しているということが中の人ユニットのμ'sに対して最も強く願っていることなのかもしれない。

・しかしこれだけ流行ってしまうと3rdが激戦区になってしまうではないか…円盤1枚で足りるのか…?

 

思ったところをつらつらと書くとこんな感じ。
この後全員集合でニコ生、さらにMXでの放送ということで、この一連の流れは上手に信者を涵養しているなぁと感心せざるを得ないと思いました。
やっぱラブライブ面白いわ。

 


【3/12追記】
公式のレポートが上がりましたね。

中の人が違うからなんだろうけど、他の記事と違ってですます調になっていないのが気になる…まぁ気にしたら負けなんだろうか。

 

【6/23追記】
3rdの後だからか検索でこのブログに辿り着く人が随分多いみたいなので少し追記。
シカ子こと久保ユリカの「ダレカタスケテー」からの「チョットマッテテー」という掛け合いについて。

既に恒例化している振りですが、これの初出はwebラジオ「ラブライブ!μ's広報部 ~にこりんぱな~」の視聴者からのお便り募集コーナーです。
ニコ動のプレイヤーがうまく貼り付かないのでリンクで失礼。
(今思うと何故最初の更新でこの情報を載せおかなかったのか…)
ラブライブ! μ's広報部 ~にこりんぱな~ 第5回
手っ取り早く名言誕生の瞬間が見たい人は15分過ぎまでシーク。

※リンク切れにつき削除しました。(2015/2/5)

 

久しぶりに見返して思ったけど、シークレットでそらまるが最初にフォロー入れてたのもある意味この挨拶の生みの親がそらまるだったからみたいな部分もあるんですね。
シークレットの2週間後のカードゲームライブ2013でもダレカタスケテーやったみたいですが、こっちはどれくらい決まったんだろうか…。
(参考:ならづけ 久保ユリカのブログ(2013/3/25更新分) コメント欄より)

 

ちなみにLV参加(シネマサンシャイン池袋)だった3rdのレポも書こうと思いましたがここ最近仕事が忙しかった+風邪ひいてたので記事作る余裕がなかったのと、あとあんまりにも素晴らしすぎて脳みそが溶けてなくなってしまったので更新予定はありません。というか熱が出たのもだいたい3rdのせい。

 

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今の自分であれば使わない表記を使っている部分もありますが、史料的価値を重んじて敢えて訂正しないままに公開します。

 

今になってこの頃に書いた記事を見返すと、本当に細かいところまで見ているなぁ過去の自分はと思うところですね。思い返せばこのイベントを皮切りに頻繁に声優さんイベントに足を運ぶようになったような気もします。